技術情報

比研削エネルギー

あなたの工具・装置はエネルギーのムダづかいをしていませんか?

ナイフで木が切れない理由とは?

すべてが切れ刃のナイフの場合は、力が全面に分散するため、非常に大きな力が必要になるからです。逆に、切れ刃が断続的に配置されたノコギリの場合、一点に力が集中する作用を高速で往復するため、モノを切断しやすくなるのです。この「あたりまえ」に見えて、誰もその応用を考えなかった「発見」をはじめ、ナノテムの新技術開発には多くの斬新な発想が生きています!


エネルギーをムダづかいして、切るエネルギーを熱のエネルギーに変えているナイフに対して、ノコギリはエネルギーを有効に使っています。 このように、最小限のエネルギーで最高の加工条件を導き出すためには、比研削エネルギーの理論をもちいて切り込み量と送り速度を設定する必要があります。


多くの装置製造会社は、今までの経験値や勘にたよった設定をしています。既存の材料であれば経験値も生かされますが、昨今、新しい材料の加工のニーズが多い状況下では、理論に基づいた設定が不可欠といえます。 私たちナノテムでは、比研削エネルギーの理論に基づいて、さまざまな加工への最良の工具・装置を提供いたします。

比研削エネルギーとは

比研削エネルギーは、研削加工におけるインプットとアウトプットの関係を表すパラメータです。つまり、加工に投入したエネルギー(インプット)と、その結果の加工レート(アウトプット)の関係が比研削エネルギーで表現できるわけです。個々の砥石の比研削エネルギーがわかると、ある加工条件における適切な加工レート(つまり切込み量と送り速度)をもとめることができます。

次の式が比研削エネルギーの定義です。

比研削エネルギーの単位を見てみると、(エネルギー)/(体積)というディメンジョンになっています。つまり比研削エネルギーが、ある体積を加工するに必用なエネルギーを表していることがわかります。


では、研削におけるエネルギーとは何でしょうか。右辺の分子が、単位時間あたりに投入したエネルギーに当たります。その中身は(接線研削抵抗力)×(砥石の周速)で表現されます。ここで、接線研削抵抗力とは、回転した砥石をワークに押し付けた時に発生する接線方向の力のことです(図1参照)。


(接線研削抵抗力)×(砥石の周速)は、ある時間内に、回転していない砥石の表面をワークでこすったときの、こすった距離とその時に発生している力との積とも考えることができます(図2)。つまり、研削におけるエネルギーとは、砥石でワークを引っ掻く時に必用な仕事量を意味します。そして、その仕事量と加工される体積の関係を表したものが比研削エネルギーといえます。


比研削エネルギーは、研削中の抵抗力、砥石周速、加工レートを測定することにより求めます。